先生のためのアイディア帳

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2021年をふり返って ~デジタル教科書と一人一台端末と私~

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Photo by Manny Becerra on Unsplash

 

2021年が終わろうとしています。

私にとっては、「いい授業をするには覚悟が要る」ということを一段と身に染みて感じた1年でした。

 

校務もある、学級運営もある、学年の仕事もある、行事の準備もある、生活指導もある、特別支援が必要な生徒への対応もある、保護者対応もある、会議もある、研修会もある、出張もある、回答すべきアンケートもある、提出すべき書類もある、部活動指導もある…というのが教員の日常。勤務時間内にじっくりと腰を据えて授業準備をするのが憚られるような空気を職員室内で感じることもあります。

「授業一生懸命やったって誰が褒めてくれるわけでもないし…」という現実と、「いい授業ができたときの生徒のキラキラした表情、プライスレス過ぎるやろ…」という現実とにランダムに直面するなかで、まあ、元気が出ない日もありました。

ただ、結局のところ私は授業をするのが好きなので、その好きという気持ちで乗り切ってしまったという感じです。覚悟を決めたというか。授業を優先したいとう思いは譲らないのだと。時間的な優先順位で言えばTo Doリストの先頭に授業準備を置けないことがほとんどですが、とにかく、「『授業準備の手は抜かない人』として職員室内で認知されてやれ! 風当りが強そうだけれども!」と腹を括りました。

 

それでも、授業準備については、今年度はいいこともありました。英語の授業が週18コマ、それ以外が週4コマになり、合計で昨年のコマ数からマイナス2になったのです。やー、マイナス2コマは大きい。隙間時間の使い方がうまくなってきたこともあり、空きコマでやれる仕事量が昨年とは比べものになりません。相変わらず毎日平均で2時間ほどサービス残業をしていますが(←無賃労働であることを強調したい)、学校にいる時間に授業準備ができることも増えてきて、「これがあるべき形!」とうれしく思っています。

 

そんなこんなで! 来年も私は! 授業準備を! する!

 

さて。

 

今年度授業をするにあたって本当に助けられたのが、年度の途中から導入された「デジタル教科書」でした。

 

何がありがたいって、この3つです。

  1. 今教科書のどこを見ているべきなのか一瞬で共有できる。
  2. 教科書をスクリーンに映すことで、板書を省略できる。
  3. 音声を聞かせるときに、聞かせたい場所を聞かせられる。また、それを繰り返せる。

 

…普通!

 

でも! この①②③ができるだけで、「やれ今どこやってるかわかっていない生徒に声をかけて…」「やれ板書して…」「やれCDのトラックナンバー選んで…」という、多くの生徒にとっての"待ち時間"が毎授業せいぜい2分くらいになったと思います。そして、短縮できた"待ち時間"を意味のある活動の時間に回せるようになりました。ブラボー!

 

それから、これもちょっとしたことですが、学校の端末を持って帰りさえすれば3学年分の教科書を持ち帰ったことになるというのも助かりました。私は授業準備と授業が趣味なので、気が向くと「ちょっとあれやってみるか」となるのですが、そういう時に教科書がすべて端末で見られるというのは想像以上にありがたかったです。土日合わせて1時間くらいしか気が向かなかったとしても、教科書を3冊持って帰って使わずにそのまま学校に持って戻るより自己嫌悪感が小さくて済みます。

 

他にも、今年度導入されたものに関して言うと、「生徒一人一台端末」も私にとってはかなりのお役立ちツールになっています。(語彙力)

 

私の勤務校はICT利活用状況が悪いので、普段生徒用端末は充電保管庫の中でバッテリー100%のまま眠らされています。ですが、長期休暇中には各生徒は自分の端末を家に持って帰り、あれやこれやの課題などでそれを使うことになっています。

 

そしてこの冬休み、私も初めてGoogle Classroomの中でドキュメントを使って「英作文を提出」という課題を出してみました! しかも、ルーブリックもつけて! (あーこれ生徒が見たら一瞬で身バレしてしまう…でも、子らよ…私は隠すようなことは何もしていないよ!)

 

Google Classroomでの提出された物をルーブリックを使って評価するとこんなふうになります。英語ですが、見ていると仕組みはよくわかります。2分ほどです。)

 

(ルーブリックに興味がある方は、こちらもどうぞ。)

 

いやー、これ素晴らしいです。メリットを列挙すると以下のような感じです。

  1. 出席番号順に並べ替える必要がない。
  2. 誰が提出済みで誰が未提出かを紙をガサガサやりながら確認する必要がない。当然、この確認に関するミスがゼロに。
  3. コメントを書きたいように書ける。
  4. 文法解説などで見せたいYouTube動画があればコメント欄に貼り付けられる。
  5. わからないことがあるときは私自身もオンラインで調べながらコメントできる。(端末で調べものをしてから紙に書きつけるという2つの動作をしなくていい。シームレス!)
  6. ルーブリックを見て一つひとつの項目にチェックを入れながら提出物を評価できるので、客観性を保って評価しやすい。※上の動画で様子がわかります。
  7. 再提出したい生徒には再提出させられる。
  8. 剽窃の確認がある程度はできる。
  9. 生徒が、Google Translateなどを使いながら書くことができる。
  10. 生徒が、文法チェッカーなどを使いながら書くことができる。

 

いやー、これ素晴らしいです。(2回目) というか、私の気付く限りではデメリットがありません。冬休みが明けたら、生徒たちにも反応を聞いてみたいと思います。現時点までで生徒たちから提出された英作文を見て言えば、総じて手ごたえはとてもいいです。Google Translateを使ったりお家の方や塾の先生に助けてもらったりしていることを考慮しても、とてもいいです。「自分の伝えたいことを自分の持っている道具を使って自分にとってのベストな英語にしてきた」というのがわかる英作文ばかり。新しいツールで新しいタイプの課題に取り組む楽しさも手伝ってこのクオリティになったのかもしれませんが、それもこちらの狙いの一つなので、とにかく、おばさん、うれしくて心で泣いてますよ…

 

来年度からでも、通常授業で端末が使えるようになったら、ここから発展させたようなライティング課題をもっとやってみたいです。(授業中は「聞く」・「話す」・「読む」指導が多くなりがちなので、「書く」指導をもっと充実させたい。)4技能はお互いに影響し合うけれど、ライティングのもつ影響力は特に大きいと思っているので。

 

そんなわけで、簡単な今年の総括でした。2022年も私自身が学び続けて、生徒たちがよりよく学べるような授業を作っていきたいです。

 

Happy teaching, my friends!

 

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