先生のためのアイディア帳

効果的な指導法やエトセトラについて

Google Formsを使って小テストをしたらいろいろwin-winだった話

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こんにちは。

 

1か月ほど前に、私史上初めてGoogle Formsを使った小テストを実施しました。「小テストの作成・採点・成績処理にかかる労力」「フィードバックの早さ」「小テストを受けることを通じて生徒たちが得る学び」を総じて考えてみて、成功だったと思います。

 

そんなわけで、本日はその一部始終のご報告です。

 

【準備】

1.この小テストのねらいを明確化する

 この小テストは、1学期期末考査の「やり直しテスト」と銘打って、考査返却日の次の授業で実施しました。1学期期末考査をやり直すことによって学習事項がより正確に定着すると考え、それをねらいとしました。また、考査でもふるわなかった生徒たちに関しては、彼らが範囲になっていた事項を少しでも思い出すということをねらいとしました。

 

2.小テストの形式を決定する(ツール)

 もともとは、紙で小テストをしようと思っていました。が、150人分の採点や成績入力はそれだけで時間をとりますし、ましてや定期考査の採点と成績入力が終わったばかりの我が身に更なる苦行を強いるほど自虐的な性格でもないため、「G Suiteを利用できないかしら…」と思い始めました。Google Classroomの授業での利用を始めているタイミングでもあったので、技術的には可能だという見込みもありました。G Suiteで小問集合型の小テストをするならGoogle Formsが最も便利なので、「G Suite、いける」と思ったと同時にGoogle Formsを使おうと決めていました。

 また、ひとたびGoogle Formsで小テストをしようと決めた後も、他のメリットが次々に発見されて、Google Formsを使う意義が自分の中でますます確かになっていきました。

  • 「回答を送信」した次の瞬間には「結果」の得点を見られる
  • 「結果」の得点を見た次の瞬間には模範解答を見られる
  • 何度も繰り返し同じ小テストを受けられる(すでに送信した回答を編集すること、まったく新しい回答を送信すること、いずれか、もしくはどちらも、を教員が設定できます。)

この3点は、今回私がやったタイプの小テストが学習効果を持つために必要な要素です。というのも、中学1年生の段階では、英語は「暗記科目」だからです。なので、小テストの実施方法に「おぼえるべきことを正確におぼえるための仕組み」が備わっていることが理想であると言えます。この「おぼえるべきことを正確におぼえるための仕組み」とは、すなわち「効果的な反復練習の仕組み」で、具体的には「【練習→フィードバック→やり直し】のループ」です。ただ、教員が人力で採点を行うのでは、時間がかかりすぎて、この理想の実現はまず不可能です。Google Formsはこの理想を実現させてくれるのですから、使わない手はない、ということになります。

 さらに、それとは別に

  • 書くことが困難な生徒にとって、タイピングの方が負担が少ないかもしれない

ということも実はけっこう意識していました。生徒の中にはそもそも「書く」という動作を大きな負担だと感じる人がいます。定期考査では、問題に解答するためには全員が「書く」必要があるのですが、その必要を取り去ったらよりよく解答できるようになる生徒がいるかもしれないと期待していました。

 

3.小テストの形式を決定する(問題形式)

 英語のテストでよくある形式のうち、以下の2つを使いました。

  • 記述:スペリング、記号やスペースの要不要の識別ができるかみたい問題
  • 選択:書けなくてもかまわない問題。見て選べればいい問題

 自動採点を上手に利用するために、「『日本語で答える問題』は『記述で答えさせない』」ようにしてみました。中学1年生の前期の段階では、「英語で答える問題」であれば、記述にしても正解の数を多くても3つほど絞ることができます。Google Formsで自動採点機能を利用するためには、問題作成時に模範解答を設定することが必要です。素晴らしいのは、模範解答を複数用意できることです。これがあると、生徒たちが以下のどれを書いてきても自動採点でマルにすることができます。模範解答として以下のすべてを入力しておけばよいだけなので。

  • She is not our teacher.
  • She’s not our teacher.
  • She isn’t our teacher.

www.youtube.com

www.youtube.com

 もし「日本語で答える問題」を「記述で答え」させたら。正解にしなければならない回答が限りなく想定されてしまい、自動採点できなくなると思います。また、単語や文を和訳させる問題では、生徒たちの誤答は相当似通ってきますので、それこそ、選択で答えさせれば十分だと思います。

 

4.小テストの形式を決定する(実施方法)

 「1」「2」の繰り返しとなりますが、「【練習→フィードバック→やり直し】の繰り返しを通じて『おぼえるべきことを正確におぼえる』」ことがこの小テストのねらいなので、実施方法は以下のようにしました。

  • 何を見てもよい(教科書、ノート、授業で配布されたプリント、副教材、定期考査の問題・自分の答案・模範解答など)
  • インターネットは使わない
  • 満点になるまで何度でもやり直せる
  • 成績に入れるのは一番高い点数のみ

 この小テストでは、結果として「必要な単語や文を正しくおぼえている」ことが何よりも大切なので、このような実施方法を取ることとしました。また、この授業のあとも家で再トライしてもよいことにし、また、この小テストのことを聞きつけた生徒たちが事前に家でこの小テストを受けることも特に不可とはしませんでした。(そこまでやってきた生徒は学年でたった1名でしたが。その生徒は通常授業にはほとんど参加していない生徒だったので、これは願ったり叶ったりでした。)

 

【実施・フィードバック・やり直し】

1.あとはやるだけ

 ここまでくればあとはやるだけです。全員がログインするのを待って、キーボードの使い方を練習してから、一応「せーの」で始めましたが、そこまで厳密には時間の管理をしませんでした。デバイスを利用した小テストの場合、全員のスクリーンがまったく同じものを表示している状態にするのは難しいです。万事指示通りにやってくれる生徒もいれば、操作に手間取って遅れる生徒もいれば、うっかり先に進んでしまう生徒もいますので。そのあたりは、ゆるめにしておくのがポイントかと思います。私自身も、常に教室の中を歩き回ってはキーボード操作の手伝いをしたり、トラブルシューティングをしたり、英語自体のヒントをあげたり、満点の生徒をほめたりしていましたし、生徒も必要があればしゃべって私を呼んだりしていました。こういったことを厳しく管理しようとすると、実施自体が不可能になるだろうと思います。

 

2.フィードバックは勝手についてきます

 自動採点を利用していますので、生徒が「回答を送信」するとその次の画面で「結果の得点」と「模範解答」をもう見ることができます。そして、それをふまえて、生徒たちは気が済むまでやり直しをすることができます。これをwin-winと呼ばずになんと呼ぶか。

 

 小テストというのは、ある生徒の現在の習熟度を測るためだけでなく、それを通じてその生徒が自分のできていなかったことをできるようになっていけるようにするためのものだと思います。そう考えると、ここでご紹介したような小テストも「あり」だと思っていただけるのではないでしょうか。

 

ednotes.hatenablog.com

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  6月から通常登校が始まり、怒涛の2か月となりました。もっと劇的に前進させられるかと思っていたICTの導入・運用は、遅々として進まず、誰かに謝りたいような、はたまた怒りたいような、そんな気持ちでおります。でも…毎日…限界を超えて…働いて…いるんですよ…。今回はこんな地味な取り組みのご報告でしたが、こういうことだけでも半年に1回くらいできたらと思っています。(ハードルは低く。)But anyway, happy teaching, my friends!!

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