先生のためのアイディア帳

効果的な指導法やエトセトラについて

高額な研修会への愚痴と読んでよかった本のこと(マット・カーター『なぜあの人は、中学英語でもネイティブと仕事ができるのか?』)

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Photo by Kate Kalvach on Unsplash

こんにちは。

 

前回のエントリーで書いたような生活を送っているところで、夏期講習も終わったため、今日から一点の曇りもない正真正銘の夏休みを過ごしております。宿題もない、仕事もない、何もない夏休みなんて人生で初めてかもしれません。こんなに仕事がないとは予想していなかったので、旅行の計画すらありません。

 

 

 

そこへ来て、外は猛暑。そんなわけで、8月は読書月間と決め、昨日学校図書館から文字通り山のように本を借りて帰ってきました。先日受験したいわゆる「教採」の1次試験がありがたくも通っていれば、8月半ばから急に気忙しくなるとは思うのですが、とりあえず自分を読書の方向へ持っていこうという勢いはついたかなというところです。

 

当初は、「8月はいろいろな研修会へ行って…」と考えていたのですが、うーん、高額なものがあまりにも多くありませんか?研修会。研修費は学校から支払われますし、あまり気にすることはないのかもしれませんが、うーん。特に英語科だと、クオリティの高い勉強会を参加費無料で実施しているチームキムタツのような有志のグループを知っているので、3,000円~5,000円くらいであってもちょっと考えてしまうし、まして10,000円を超えてくるとなるとだいぶ考えてしまいます。

 

 

あとは、英語が少しわかれば、(そして時差にどうにか対応できれば、)自分の関心にドンピシャな無料のウェビナーをけっこうな確率で見つけられるので、それもあって研修会へ実際に足を運ぼうとする腰がどんどん重くなってしまいます。(もちろん、研修会に行ってよかったと「思えなかった」経験が人並みにはあることも理由の一つです。)

 

 

教育基本法第9条第1項」と「教育公務員特例法第21条第1項」によれば、「研究と修養」(研修)に励むことは教員の(努力)義務です。研修会の運営にお金がかかるのは重々承知しているのですが、研修会が「研修会ビジネス」になっているようだと筋が通らないように私などは感じてしまいます。

 

  

 

ということで、「8月は読書月間」という妥協案に辿り着きました。英語関連はタイトルにある1冊と英検の2次対策本のみで、あとは「若者と政治」的な内容の新書が3冊、そして小説が6冊です。ともするとライフハック的な本しか読まずに1年が過ぎてしまったりする私なのですが、たまに小説を読んだ時の「脱自己中心」感というか、「人間って計り知れない!」みたいな、「私の盲点のなんと広いことよ!」みたいな、あの感じを経験することが自分にとってよいものであるというのはよくわかっているので、やはり小説は読みたいです。はい。

 

とは言いながらも、最初に読み終えたのはタイトルにあるこちらの本。

 

 

とてもいい本でした。「『英語が話せる』ってこういうことなんですよ」ということを非常に平易に具体的に書いています。

 

amazon.co.jpで「なか見!検索」に飛ぶと目次が見られます。目次だけでもぜひご覧ください。一度でも実際に英語を使う場面に出くわしたことのある人なら、関心をぐっと惹かれる章がいくつかあると思います。(「著作権保護コンテンツ」と書かれているので、スクリーンショットは貼らない方がいいのだろうと一応判断しました。)

 

「英会話というのは人と人とのコミュニケーションですよ」「だから、こんな工夫やこんな工夫があるといいですよ」ということを全編を通して懇切丁寧に教えてくれていて、留学から帰ってきたばかりの私はもう頷きっぱなしで、自分でもびっくりしました。

 

中高でも、そして大学でも、習いませんよね、たとえば、「何か聞かれたら、答えは『3センテンス以上』」とか。(←この本の中で私が一番「これを知っていたらどう考えても英会話に役立つ」と思ったもの。)でも、これ、本当に本当に大事なんです。もちろん、経験の中から自分でこの結論に辿り着いてもいいのですが、でも、こういう本をパッと読んで、「なるほど」と思って、英会話をするときにはその心積もりでいれば、それだけでよりよく話したり聞いたりできるのではないかと思います。それによって余計なストレスを経験せずに済むだろうし。

 

学校英語は、限られた時間の中で、限られた目的のために教えられているので、そこでは教えられないものもたくさんあります。実際、今の時代でも、将来英語を使うつもりがない子供はかなりの数いることと思いますし、彼らが社会に出た後に英会話をせずに働き、生活していくことは十分可能なのだと思います。そうなると、この本に書かれているようなことは、(特に義務教育に携わる)教員にとっては、「授業で扱う最優先事項」にはならないのかもしれません。

 

この辺りの「学校英語」と「英会話のための英語」との乖離が、「10数年習っても日本人は英語を話せない」というおなじみの批判の原因の一つなのですが、この批判について何か言おうとすると果てしないので、今日はこの程度で。

 

それではまた次回まで。

 

Happy teaching, my friends!!

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