こんにちは。
2019年初の本エントリーも相変わらず評価についてです。が、今回は、評価が行われるために不可欠な前段階である「生徒の活動」に注目してみます。
「生徒の活動」なくして評価はありえません。「生徒の活動」は教員にとって生徒の学びを評価するための唯一の参考資料だからです。加えて言うと、評価なくしてフィードバックはありえず、フィードバックなくして学びの向上はありえません。(自己評価能力が高い生徒は例外として。)いろいろ言いましたが、要は、「生徒の活動」は学びの向上ために不可欠だと繰り返しているだけですね、すみません。
前回のエントリーで挙げた「中1英語、夏休み前の時点で学年の約半分がbe動詞と一般動詞を混同している問題」を例として考えてみます。ちなみに、評価の指標としては以下の4つを挙げました。
- 「見て(聞いて)区別がつく」
- 「英作文で正しく使い分けられる」
- 「しゃべったときに使い分けられる」
- 「2つのちがいを説明できる」
上記の問題を解決しようとして授業をする場合、生徒は最終的には「1. 見て(聞いて)区別する」「2. 書いて使い分ける」「3. しゃべって使い分ける」「4. ちがいを説明する」という4つの活動をすることになります。そのためには、先生は、この4つの活動を可能にするための指導をするのはもちろんのこと、生徒に練習(←これももちろん「生徒の活動」です)させ、その練習を観察・評価し、生徒にフィードバックを与え、さらに練習させることになります。(これがここやここで書いたformative assessment/feedbackです。)これをすることで、生徒は自分の活動を修正・改善しながら目標に着実に近づいていくことができます。
ここでもし、「生徒の活動」が「座ってノートを取ること」と「授業の最後にテストを受けること」だった場合、生徒が目標に程遠い結果しか出せなくても、それは当然ですよね。練習も評価もフィードバックも何もなしに、できなかったことができるようになるはずはありませんので。
ここで、私がとても気に入っているチャートを1つご紹介します。(https://teaching.temple.edu/edvice/practice-and-assessment-grading-and-feedback)
(外側の円)
- 「練習」が 「パフォーマンスの観察」につながり
- 「パフォーマンスの観察」が「目標達成につながるフィードバック」を可能にし
- 「目標達成につながるフィードバック」が次の「練習」がどうあるべきかを決める
(内側の線)
「目標」は
- 「練習」がどうあるべきかを方向づけ、
- 教員が「観察したパフォーマンス」を評価することを助け、
- 「目標達成につながるフィードバック」を形成する (訳:私)
これを見ると、練習をさせてこそ「生徒が何ができて何ができていないか」、そして「目標に近づくために何が必要か」を先生が正確に評価できることがわかります。これが先生から生徒へのフィードバックに反映され、さらに次の練習へとつながっていきます。
この「生徒の活動大事!」という考え方を前回のバックワード・デザインに組み込んだ場合、先生が授業や単元を計画する手順は以下のようになりそうです。
- 課題を発見する (課題=生徒にできてほしいが、生徒がまだできないこと)
- ゴールを設定する
- 評価方法を決める
- 生徒の活動を決める
- 指導法を決める
- 教材を決める
授業時間は先生にとっては文字通り「アッ!」という間に過ぎていきます。その短い短い時間を上手にデザインして「生徒の活動」をメインに持ってくることが、きっと、生徒の学びを促進する授業のカギになります。
次回は生徒による自己評価について書く予定でいます。それではまたその時まで。
Happy teaching, my friends!!
参考:
Ambrose, S. A., & Mayer, R. E. (2010). How Learning Works: Seven Research-based Principles for Smart Teaching. US: Jossey Bass Ltd.